臨時議会の反対討論

2016年2月14日 市谷 とも子

大変遅くなりましたが、臨時議会で行った反対討論を掲載します。

2日間のほぼ徹夜状態で、本当にしんどかった。

内容もですが、急な大量の予算提案に対する怒りがこもっています。ご覧ください。

【2月5日臨時議会の反対討論】

日本共産党の市谷知子です。日本共産党県議団を代表して、議案第1号、第2号の反対討論を行います。

今日の臨時議会は、1月20日に成立した国の補正予算をうけ、一日も早く予算編成をと、緊急に召集されました。今回の補正予算は、国の補正予算の柱にそって整理した資料をみると、「TPP対策」約40億円、「女性・若者・高齢者・障害者の活躍」約17億円、「地方創生加速化交付金の活用」約10億円、「防災・安全対策」約54億円、「喫緊の課題」0.2億円の、合計約121億円。たった今日1日で、この重要で、大型の補正予算の賛否を決めることになります。

そもそもこの補正予算の元となった、国の補正予算の位置づけはどうだったでしょうか。安倍総理は、「アベノミクスで経済好循環が生まれ始めた」とし、「今回の補正予算はその皮切りになる」ものと表明しました。しかし、くらしや経済の実態は「好循環」とは程遠く、GDPも実質賃金も全体的に下がり続け、非正規雇用は3割台から4割台に増えています。その一方で大企業は、法人税率の引き下げなどで、年間3兆円もの減税となり。減税分は、賃金には回らず、その大部分は海外投資家への配当へと流れ、大企業の内部留保は史上最高で300兆円を超えました。「経済好循環」ではなく、大企業の独り勝ち、アベノミクスの「トリクルダウン」の破綻は明らかです。ところが安倍政権は、こうしたアベノミクスの失敗を省みず、来年度以降、法人実効税率を2.27%引きさげ、大企業に1兆円の減税を進める一方で、低所得者が一番打撃を受ける消費税10%増税を前提に、食料品などの一部を現行の8%に据え置くだけで、全体では増税となるのに「軽減」だと国民をごまかしています。その上社会保障予算は、「痛みに耐えろ」と実施された、小泉政権時代の自然増毎年2000億円削減を上回る、3000億から5000億円の削減と、安倍政権は、貧困と格差を広げる政治を突き進んでいます。

こうして国民生活に大ナタを振るいながら、国の補正予算では「一億総活躍社会実現」に向けた緊急対策だと、低所得者の臨時給付金。子どもの貧困対策で、居場所づくりや、児童養護施設の退所者の「就職や進学」準備金の貸付。「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」と称して、不足する介護福祉士や保育士の「再就職準備金」の貸付などが計上されています。しかし、あくまで一時的な給付金。貸付金は条件通りに就職できなければ返還しなければなりません。そして、そもそも急がれるべき、介護士や(ほいく)保育士の離職原因である「処遇改善」策がありません。また介護や診療報酬の大幅削減、最後の命綱の生活保護や年金も、無慈悲に切り下げ。これでは、「一億総活躍」どころか、「一億総貧困」社会になってしまいます。この根本問題の解決策を示さないままの、一時しのぎの緊急対策は、選挙目当てのバラマキと言われても仕方ありません。

また、「一億総活躍社会実現」の緊急対策、地方創生のレベルアップの加速化を目的に、「地方創生加速化交付金」が盛り込まれましたが、基本的に効果が高い新規事業に限定されています。それなら時間をかけてよりよいものを検討すべきなのに、国への申請締め切りは再来週の2月17日とせかされ。国の計画認定は3月中下旬、交付決定は3月末と待たされた挙句に、申請したものが全て認められるとは限らないとのことです。こんなふうに、期限も決定も国が主導するような、「地方創生」は、間違いです。そして今ごろ、何の緊急性か、何のための加速化か? 地方のためでなく、結局選挙に間に合わせる加速化なんじゃないでしょうか。しかも、この地方創生加速化交付金を活用する県事業は、外国人観光客誘致や、「移住大作戦」などのよびこみに合計3億円と一番多くつぎ込まれ、移住してくる若者や高齢者を「顧客ターゲット」と表現するなど、利潤目当てがむき出しです。こんなことでいいんでしょうか。そこの地域にくらす住民自身の幸せと、そこへの投資こそが、好循環で、持続可能な、地域社会をつくる道ではないでしょうか。

また、今回、企業立地補助金制度で、呼び込みが強化されていることも問題です。既に成長分野とされる、「航空機、自動車、医療機器」の大手企業が、県内での立地を予定していますが、今回これに関連する企業を、更に県外から呼び込むため、県外企業への補助金要件のハードルを、県内中小企業並みに低くする制度改正が提案されています。成長分野には、「県内企業にはできない仕事があるから」とのことですが、県内企業が関われないなら、県内への波及効果を理由に、加算金も含む多額の企業補助金を出して、成長分野の企業を呼び込んだ意味は、いったい何だったんでしょうか。今頃になって、こんな提案がされることに、憤りを感じます。

そして次に、TPP対策です。昨日、日本を含む交渉12か国が、大筋合意の内容で署名しました。強く抗議すると同時に、条約はまだ批准されていません。今からでも撤退すべきです。この合意内容では、農林水産物全体の8割を超す品目の関税が撤廃され、残りの品目もTPP発効7年でアメリカが要求すれば関税撤廃の協議が義務付けられています。そしてコメや牛肉豚肉など重要5項目も、その中の3割の品目が関税撤廃、残りも関税の大幅引き下げや特別輸入枠が押し付けられ、「交渉対象から除外。それができなければ撤退」という、国会決議の明白な違反です。加えて、秘密交渉で知らさていかなった協定案、最近になるまで、全文の日本語訳すら公表されず、交渉過程の詳細も明らかにされないまま、交渉にあたった甘利前大臣が口利き疑惑で辞任。こんなボロボロの状態で示されたTPPの影響試算、だれが信用できるでしょうか。加えて国の試算では、「TPPの影響は限定的」だと非常に楽観的で、安い輸入米が入るのに、その分備蓄するから「コメの影響はなし」とされ、試算から外された品目もあります。国の試算に基づく鳥取県の影響は、前回平成25年度246億円だったものが、今回最大でも19億円と、この大きなギャップな何でしょうか。そして説明不足が指摘され、農水省の全国キャラバンがやっとはじまり、鳥取県でも1月25日に説明会が開かれたばかり。まだ終わってない県もあります。こんな状態でどうして署名なんでしょうか。そして今回、低く見積もられた影響を元に、安倍政権が打ちたした対策大綱・「新農政時代」が、補正予算に盛り込まれています。しかし、「攻めの農業」、「競争力」、「収益力強化」がうたわれ、「担い手確保」や「産地パワーアップ」、「畜産クラスター」などの、「機械」や「施設整備」の支援策は、売上や経営コスト10%以上の成果目標や規模拡大が求められ、使えるのは体力がある一握りの農家で、多くの農家は切り捨てです。輸出対策もやれる農家がどれだけあるでしょうか。そして鳥取県で欠かすことのできない中山間地域対策は、国の予算ではほぼ無視され、結局鳥取県が自力で支援に乗り出さざるを得なくなっています。国は、「努力が報われる農林水産業実現」といいますが、必死で努力して、食料と農地を守ってきた農家を切り捨てるのが、TPPです。TPPの条約の批准はまだです。日本が批准しなければ発効しません。改めてTPPの撤退を強く求めます。そして、再生産と持続可能な農林水産業の発展のため、食糧自給率向上と、そのための価格・所得補償制度の抜本的強化を求めます。

最後に、今回の補正予算は、金額も新しい制度も多く、慎重審議が必要です。しかし予算案を受け取ったのは2日前、今日初めて説明を聞いものもあるのに、今日採決。この議会の在り様は本当に情けない。早ければ何でもいいというものではありません。議案審議が十分できない議会の召集のあり方は、改めていただきたい。強く抗議し、以上の理由から、議案第1号、第2号に反対であることを述べ、私の討論を終わります。

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